IV-2.「東南アジア研究逐次刊行物の共有化」(平成21-22年度 FY2009-2010 継続)


  • 研究代表者:北村由美(京都大学・東南アジア研究所)
  • 共同研究者:木谷公哉(京都大学・東南アジア研究所)
  • 石井美千子(アジア経済研究所・図書館)
  • 高橋宗生(アジア経済研究所・図書館)
  • 森垣啓土(大阪大学・外国学図書館)
  • 加藤さつき(東京外国語大学・学術情報課資料サービス係)
  • 矢野正隆(東京大学・経済学研究科図書室)

研究概要

本研究の目的は、これまで関連機関が個々に収集してきた東南アジア地域研究に必要な逐次刊行物所蔵状況を調査し共有化することにより、国内における東南アジア研究資料基盤の共同形成と、既収集資料の共有化に向けた基礎作業を行うことである。本研究の概要は以下のとおりである。
①「東南アジア研究逐次刊行物総合目録」(2007-2008 年度に科研費研究プロジェクト「アフロ・アジアの多元的情報資源共有化を通じた地域研究の新たな展開」(代表:田中耕司))のデータベース化
②東南アジア各国における逐次刊行物出版情報に関するセミナー開催
③学術雑誌以外の東南アジア研究に関する逐次刊行物情報の収集

詳細

本研究の最大の意義は、国内外における東南アジア研究関連資料の共有化を具体化するためのツールを開発することである。

地域研究資料は、主に多言語資料に対する対応の難しさから、国内外における共有化が遅れている。なかでも、東南アジア研究に関する逐次刊行物に関しては、国立情報学研究所の目録所在情報サービス(NACSIS-WEBCAT)のような国内図書館界で用いられている基本的な共有化ツールにすら登録が進んでいない場合が多く、所在情報の共有も難しいことが現状である。本研究では、東南アジア研究に関係する司書と研究者によって選択された432 タイトルのコア・ジャーナルの108 図書館・図書室・情報室の所蔵を収録した「東南アジア研究逐次刊行物総合目録」のオンライン化を行った上で、学術雑誌以外の逐次刊行物である新聞・官報に関する所蔵情報の共有を行い、今後国内において東南アジア研究資料の共同収集や、海外研究機関も含めた、地域研究資料の共有化につなげる。

共同収集が実現した際重要になるのは、個々の図書館の全体における位置づけと図書館間の差異化である。そのことを踏まえ、本プロジェクトではまた、東南アジア各国における逐次刊行物出版情報に関するセミナーを開催し、東南アジア研究に関連する司書の資料に対する知識を深めることによって、個々の図書館におけるコレクション形成の方向性を明確化できるように準備をする。また、本研究は、他地域の地域研究資料の共有化にも応用可能なモデルを提示できる可能性がある。

本研究の成果としては、以下の3 点があげられる
① 東南アジア逐次刊行物総合目録データベース(コア・ジャーナル編・新聞編・官報編)の公開によって、国内における東南アジア研究逐次刊行物の所在の把握が、可能になる。
② 東南アジア関連資料所蔵館間の人的ネットワークの形成
③ 目録および解説書の出版


松野明久氏(大阪大学)による東ティモールにおける出版の現状に関するレクチャー。〈2010 年10 月15 日研究会〉

小林 知氏(京都大学)のレクチャーで回覧された、カンボジアの逐次刊行物の一例。英語版とクメール語版報告書が同時出版されている。〈2010 年10 月15 日研究会〉