IV-4.「東南アジア海域の社会動態に関する基礎研究──海民の人口移動と生成過程を中心に」(平成21-22年度 FY2009-2010 継続)


  • 研究代表者:長津一史(東洋大学・社会学部)
  • 共同研究者:河野泰之(京都大学・東南アジア研究所)
  • 岡本正明(京都大学・東南アジア研究所)
  • 立本成文(総合地球環境学研究所)
  • 赤嶺 淳(名古屋市立大学・人文社会学部)
  • 青山和佳(北海道大学・大学院教育学研究院)
  • 河野元子(政策研究大学院大学・グローバルCOE プログラム「東アジアの開発戦略と国家建設の適用可能性」政治研究グループ)
  • 渡邉暁子(東洋大学・社会学部)
  • 鈴木佑記(上智大学・大学院外国語学研究科)

研究概要

本研究は,京都大学東南アジア研究所(CSEAS)と協力して、①インドネシア、マレーシア、フィリピンを中心とする東南アジア海域の時空間情報(地図画像・一次的な歴史資料等)を収集・整理・データベース化し、②同海域における海民の人口移動と民族生成に着目した『東南アジア海域の社会動態に関する基礎資料集成』(英文)を作成し、③それらの資料に基づいて海民の社会動態に関する論考をまとめようとするものである。

詳細

本研究は、東南アジア海域を対象としたCSEAS 所蔵の一次資料、電子版センサス、GIS データ、フィールドデータ等を、同海域に関する原資料として整理、統合し、その成果として、時空間情報データベースおよび『東南アジア海域の社会動態に関する基礎資料集成』を作成することを目的としている。同資料集成には、人口に関する基本情報のほか、資源利用、言語、起源神話、物質文化等に関する情報も含まれる。こうした情報資料集の作成と公開は、東南アジア海域の社会動態に関する研究を進展させるのみならず、この海域に関するディシプリン横断的な研究の創出をも導きうる。

期待される成果

CSEAS が所蔵する島嶼部東南アジアの空間情報資料(地図等)などの既存資料が、2000 年以降の電子資料(特にセンサスとGIS)とあわせて整理され、研究資源化される。また、時間と空間の双方の面での東南アジア海域研究に関わる情報が、海民の人口移動と民族生成というテーマのもとで接合され、データベースや『基礎資料集成』において提示されることになる。代表者とメンバーは、上記のような多元的な資料に基づいて、東南アジア海域の社会動態に関する論文を個別にまとめていく。それらの論考は、東南アジア海域を海民を主要アクターとして生成してきたひとつの社会空間として捉えなおし、その歴史過程を具体的かつ全体的に把握しようとする地域研究の試みにもなるだろう。


ハタを採捕するサマ・バジャウ漁民(インドネシア・東ジャワ州カンゲアン諸島、2008 年3 月)

ハタの品質検査をする華人の仲買人(インドネシア・バリ、2008 年8 月)