IV-3.「東南アジア史における交易網と中継港の役割」(平成22年度 FY2010 新規)


  • 研究代表者:川村朋貴(富山大学・人文学部)
  • 共同研究者:杉原 薫(京都大学・東南アジア研究所)
  • 太田 淳(中央研究院〈台湾〉・人文社會科學研究中心 亞太區域研究專題中心)
  • 西村雄志(松山大学・経済学部)
  • 久末亮一(政策研究大学院大学・政策研究科)
  • 宮田敏之(東京外国語大学・大学院総合国際学研究科)
  • 柿崎一郎(横浜市立大学・国際総合科学部)
  • 小泉順子(京都大学・東南アジア研究所)

研究概要

18 世紀末から20 世紀初頭にかけての東南アジアは、植民地化と世界経済への統合の流れのなかで大きな政治的経済的変動を経験したが、それによって伝統的な交易網が破壊されたのではなく、新しい環境のなかで再編され、発達したことが、近年の研究によって明らかになりつつある。本研究会は、若手研究者による最新の研究をつきあわせることによって、研究の現段階を総括し、東南アジア世界の新しい歴史像を提出することを目的とする。

詳細

近年、アジア交易圏研究の進展とともに、遠隔地貿易およびインド、中国、日本などとのあいだの「アジア間貿易」の動向が統計的に明らかにされるにつれて、東南アジア域内交易の研究も少しずつ進んできた。本研究会ではその次の段階として、18 世紀末から20 世紀初頭までの東南アジア域内交易史というまったく新しいフィールドの形成を試みる。

現在のところ、日本の東南アジア経済史研究の若手グループによる共同研究は存在しない。いくつかの科研でオーバーラップしていることはあるが、いずれも東南アジアに焦点をあてたものではない。過去4 年間、東南アジア研究所の所内研究会(アジアの政治・経済・歴史研究会)で開いた多くの研究会で蓄積してきたネットワークを基礎に、このテーマについて集中的に討論し、まとまった成果を出すことができれば、大きな意義があると思われる。

本研究への参加者は全員歴史家なので、東南アジア研究所図書室の頻繁な利用者であり、その資料的価値を熟知している。共同研究を契機に資料の収集ができ、研究所のスタッフや滞在する外国人研究員との交流も出来る。