IV-6.「文理融合のメタ研究にむけて:持続型生存基盤研究における経験から」(平成25-26年度 FY2013-2014 継続)


  • 研究代表者:生方史数(岡山大学・大学院環境生命科学研究科)
  • 共同研究者:木村周平(筑波大学・人文社会系)
  • 渡辺一生(総合地球環境学研究所・研究部)
  • 佐藤史郎(大阪国際大学・国際コミュニケーション学部)
  • 河野泰之(京都大学・東南アジア研究所)
  • 佐藤孝宏(国際稲研究所・作物環境科学部門)

研究概要

本研究では、京都大学東南アジア研究所を主幹として2007 年より5 年間実施されたG-COE プログラム「生存基盤持続型の発展を目指す地域研究拠点」を事例に、文理融合型のプロジェクトが立案から終了に至るプロセスの中で必然的あるいは偶発的に抱える課題を明らかにする。また、そうした課題がどう乗りこえられうるのか、研究者の連携に必要な要件を考察し、文理融合研究や地域研究も含めた学際研究プロジェクトの比較研究をするための研究手法も検討する。

詳細

昨今、文理融合や異分野融合を銘打った共同研究プロジェクトが乱立しているが、そこで実際にどのような交流や融合が行われたのかは学術的にほとんど検証されていない。本研究では、京都大学東南アジア研究所を主幹として2007 年より5 年間実施されたG-COE プログラム「生存基盤持続型の発展を目指す地域研究拠点」において中核的な役割を果たした研究者たちが、プロジェクト・ドキュメンテーションなどの手法を用い、プロジェクトにおける「融合知」の生成過程を検証する。ここでは、プロジェクトの組織や方法に加えて、関連する社会政治的・科学的なフレーミングや参加者の保持している「文化」が、その後の「融合知」の生成過程に影響を与えるという状況を想定している。これらの検証により、文理融合型の研究プロジェクトが、立案から終了に至る一連のプロセスの中で抱える課題を明らかにすると同時に、そうした課題がどう乗りこえられうるのか、研究者の連携に必要な要件を考察し、文理融合研究や地域研究も含めた学際研究プロジェクトの比較研究をするための研究手法も検討する。

本研究によって、以下2 点の成果が期待できる。
①文理融合研究を可能にする要因にはどのようなものがあるか、逆に「成功」を阻む要因は何か、それらはどのようにつくりだされ、機能するのかを、具体的な研究事例の分析を通して明らかにする。
②その上で、それらがどのように乗りこえられうるのか、研究者の連携に必要な要件を考察するとともに、学際研究プロジェクトの比較研究をするための研究手法を提示する。


文理双方の研究者が研究会で議論する。研究会は貴重なコミュニケーションの場である。

文理の研究者によるフィールドの共有は、両者の融合を促進する手法としてよく用いられてきた(マレーシア・サラワク州)。