II-1.「ミャンマーと日本における里の農村開発のための伝統的資源活用に関する比較研究」(平成26-27年度 FY2014-2015 継続)


  • 研究代表者:鈴木玲治(京都学園大学・バイオ環境学部)
  • 共同研究者:安藤和雄(京都大学・東南アジア研究所)
  • 大西信弘(京都学園大学・バイオ環境学部)
  • 竹田晋也(京都大学・大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
  • 赤松芳郎(愛媛大学・大学院連合農学研究科)
  • Khin Lay Swe(フレダ及びイエジン農業大学・農業植物学科(イエジン農業大学))

研究概要

2010年の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)以来、里山(SATOYAMA)における生物多様性や環境保全に高い関心が寄せられ、国際間の里山比較研究も加速度的に進んでいるが、ミャンマーではいまだ里山の概念は定着していない。本研究では、ミャンマーと日本のフィールドステーション(FS)を拠点に、里の伝統的な自然資源活用方法に関する比較研究を行う。ミャンマーからはミャンマーFSで農業や環境問題を数年以上にわたって実践的に研究してきたKhin Lay Swe 氏を招へいし、京滋 FS の里の現場で日本人共同研究者らとフィールドワークを行う。これらの研究成果を定例研究会や国際ワークショップで発表し、ミャンマーの里の開発と自然環境保全を両立させる有効な方法を探る。

詳細

本研究では、ミャンマーにおける里の自然資源活用方法を人との関わりの観点から整理し、里としての体系化を試みると共に、その体系と京滋を中心にした日本の里の活用方法との比較分析を行い、ワークショップなどを通じてミャンマーの里の開発と自然環境保全を両立させる有効な方法を明らかにすることを目的とする。

本研究は、ミャンマーでの里研究のパイオニア研究となるばかりでなく、ミャンマーと日本のFS事業で得られたこれまでの里に関する研究成果を生存基盤科学的地域研究として有機的に結合させることで、里研究の意義がミャンマーの学術、行政、NGOの関係者に理解されていくことになる。これが本研究の意義である。 従来、海外地域研究と日本の国内地域研究は別個の個人が行うことから、異なった研究として遂行・完結している傾向が強かった。しかし、今回は、一人一人の研究者が海外と日本の地域研究を統合するという、地域研究においてはいままでにない可能性を追求しており、海外研究と日本研究の統合地域研究方法が成果として提示される。

平成27年度に最終成果発表会を実施し、それらの成果を実践型地域研究推進室のホームページから情報発信する。また、本研究の成果は日本熱帯農業学会、熱帯生態学会等の講演会等で発表し、東南アジア研究所の英文誌への投稿も行う。また、プロジェクトの成果は最終報告書として出版する。また、Khin Lay Swe氏は、里の資源利用に関するこれまでの研究成果を著書としてまとめる予定である。


炭焼き窯(ミャンマー・バゴー山地)

焼畑の火入れ(滋賀県余呉町)