III-2.「村落潜在性データ(PODES)と国勢調査データを活用したインドネシア村落の社会変容に関する広域把握」(平成27年度 FY2015 新規)


  • 研究代表者:古川文美子(神戸大学・人間発達環境学研究科)
  • 共同研究者:鮫島弘光(地球環境戦略研究機関・自然資源・生態系サービス領域)
  • 増田和也(高知大学・農学部)
  • 岡本正明(京都大学・東南アジア研究所)
  • 河合真之(地球環境戦略研究機関・自然資源・生態系サービス領域)
  • 藤崎泰治(地球環境戦略研究機関・自然資源・生態系サービス領域)
  • 水野広祐 (京都大学・東南アジア研究所)
  • 甲山 治(京都大学・東南アジア研究所)
  • 小泉祐介(東京大学・大学院総合文化研究科)
  • 大出亜矢子(京都大学・大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)

研究概要

インドネシアにおける産業造林やアブラヤシ栽培の導入・拡大過程と村落社会への影響を分析するためには、村落レベルでの特徴把握・経年比較が必要となる。しかし、調査対象が広域にわたると現地調査のみでは限界がある。そこで、村落潜在性データ(Potensi Desa/PODES)および国勢調査データのデジタル版の活用を検討している。これらの資料と現地調査で得られたデータと照らし合わせることで、当該村落を国家・地域レベルの動向に位置づけ、人口移動や地域住民の生存戦略の変容と今後の展望について検討する。

目的

1990年代末以降のインドネシアでは国家主導の資源開発から、環境修復や地域支援事業への転換が進められてきた。本研究では産業造林とアブラヤシ栽培に注目しながら、国内全村落を対象にした統計データと現地調査によるデータを統合することで、マクロレベルの動向が村落社会にどのような影響を及ぼしているのかを明らかにする。

意義

早生樹の産業造林やアブラヤシ栽培は多くの問題点を指摘される一方、木材資源の確保や再生可能エネルギー生産による地域経済発展への展望が期待されている。これらの影響を特定集落の経時的変化から評価するだけではなく、国内全体の著しい経済成長を背景とした地域全体の趨勢なのか、当該開発プログラムの影響であるのか見極めが必要である。本研究では、PODESないし国勢調査データを活用することで対象村落を含む地域全域の基礎データを入手し、相対的評価を可能にする点が画期的である。

期待される成果

PODESは1983年から3年ごとに発行され、アブラヤシ栽培・産業造林が大きく展開した1990年代前後をカバーしている上に、2002年以降は移民居住ユニット(Transmigration Resettlement Unit)と孤立民居住地(Remote Ethnic Resettlement)も網羅している。多くの統計資料は主に県レベルで集約されたものが多いが、行政村単位であるPODESを活用することで、より詳細な解析が可能となる。

さらに、本申請では1983年度版から2014年度版までを入手し、全情報をデータベースに取り込むことで、データの加工やGISとの連結が容易にし、幅広い解析を可能にする。


村落潜在性データ(Potensi Desa/PODES) のデジタル版

“Togo”と呼ばれる水上やぐらは、Pengerihを用いた漁業の拠点であり、魚や小エビを干す場所としても利用されている。