II-1.「少数民族の「多様なやりとり」にみる現在の「ゾミア」地域─異なる政治経済体制下での比較研究─」(平成27-28年度 FY2015-2016 継続)


  • 研究代表者:落合雪野(龍谷大学・農学部食料農業システム学科)
  • 共同研究者:池田一人(大阪大学・大学院言語文化研究科)
  •                      今村真央(山形大学・人文学部人間文化学科)
  •                      木村真希子(津田塾大学・学芸学部国際関係学科)
  •                      小島敬裕(津田塾大学・学芸学部国際関係学科)
  •                      中田友子(神戸市外国語大学・国際学部国際関係学科)
  •                      Nathan Badenoch(京都大学・東南アジア研究所)
  •                      藤田幸一(京都大学・東南アジア研究所)

研究概要

本研究は、中国雲南省から東南アジア大陸部を経て、インド北東部やバングラデシュ東部にかけての地域を対象に、この地に居住する民族集団、特に少数民族と呼ばれる人々の異なる政治経済体制の下での社会的生活的実践=「多様なやりとり」を多角的に検討する。この作業を通じて、1)研究の展開状況の把握、2)研究手法の検討、3)問題の所在の明確化を進め、大型研究プロジェクトへのステップアップにつなげる。そのために、外国人招へい者として、Dr. Ken MacLean(Clark University)を2016 年8 月から6 カ月間招へいする予定である。

目的

本研究では、中国雲南省、ベトナム北部、インド北東部に囲まれた「ゾミア」地域で現地調査を実施している共同研究者8 名が、少数民族の社会的生活的実践を具体的に検証する。同時に、ゲスト講師を招いて多様な分野の調査事例を参照する。この作業をもとに、1)対象地域における研究の展開状況を把握し、2)研究手法や研究倫理について検討し、3)問題の所在を洗い出してその明確化を図る。これにより、大型プロジェクト実施のための体制を整えたい。

意義

[中国、東南アジア、南アジアを跨界する研究]
東南アジア研究者を中心に、南アジアや中国での調査経験を持つ共同研究者、さらに、若手ながら、国民国家による影響、政治的暴力、立ち退きや不定期の移住などの諸課題について研究実績のあるDr. Ken Maclean が参加することにより、異なる政治経済体制下にある対象地域の状況を包括的に議論できる。

[日常的実践と非日常的実践]
少数民族の社会的生活的実践のうち、日常生活に関連して、農業、商業、工芸、宗教活動、言語使用などの事象を幅広くとりあげる。また、日常生活に深刻な影響を及ぼす、紛争、民族問題、難民、移民などの非日常的実践についても議論の対象とする。これをもとに、現在の研究状況を把握し、問題の所在を洗い出す。

期待される効果

[研究者ネットワークの構築]
若手研究者を含めた共同研究者や招へい外国人、ゲスト講師が発表と討論を進め、また関連するプロジェクトの成果を参照することにより、将来的な共同研究の基盤となる研究者ネットワークを構築することができる。

[研究手法の共有]
対象地域では、現地調査を実施する際に、数多くの課題(交通手段、宿泊、政府機関等との交渉、危機管理など)が発生している。また、インフォーマントが特殊な立場におかれたり、複雑な背景を有することもある。本研究では、その対処方法や研究倫理に関して、個々の経験や情報を持ち寄り、あらためて検討する。この成果を今後の研究活動にフィードバックすることができる。

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観光客の増加とともに、みやげものも近隣諸国から流入する

認証制度のステッカーによって、手工芸品が県内産であることを観光客に示す(ともにラオス、ルアンパバーン市、2016 年9 月)