IV-12.「植民地体制下の東南アジアにおける地域経済の変容に関する比較史的考察」(平成28年度 FY2016 新規)


  • 研究代表者:西村雄志(関西大学・経済学部)
  • 共同研究者:太田 淳(慶應義塾大学・大学院経済学研究科)
  •                      岡田雅志(大阪大学・文学研究科)
  •                      柿崎一郎(横浜市立大学・国際総合科学部)
  •                      神田さやこ(慶應義塾大学・大学院経済学研究科)
  •                      北川勝彦(関西大学・経済学部)
  •                      後藤健太(関西大学・経済学部)
  •                      小林篤史(大阪産業大学・経済学部)
  •                      城山智子(東京大学・経済学研究科)
  •                      島田竜登(東京大学・大学院人文社会系研究科)
  •                      杉原 薫(政策研究大学院大学・政策研究科)
  •                      多賀良寛(大阪大学・文学研究科)
  •                      谷口謙次(大阪市立大学・大学院経済学研究科付属経済学研究教育センター)
  •                      正木 響(金沢大学・人間社会研究域経済学経営学系)
  •                      水野広祐(京都大学・東南アジア研究所)
  •                      宮田敏之(東京外国語大学・大学院総合国際学研究院)
  •                      村上 衛(京都大学・人文科学研究所)

研究概要

本研究の参加者は、植民地体制下の様々な地域社会の変容や商人活動の変化を、主に一次資料を分析する方法によって検討する。少なくとも年2 回は研究会を開催し、そこでそれらの成果を発表して参加者全員で議論する。他の地域の研究者は、そのような東南アジアの事例が自らの専門地域とどのような共通性があり、どのような違いがあるか等、比較史の視角からコメントする。このような活動を通じて、植民地体制が構築される過程の東南アジアにおいて、地域経済や商人活動にどのような特徴があり、それが同時期の世界経済のなかでどのように位置付けられるのか、さらにアフリカや南アジアの事例とも比較して、植民地経済史のなかにおける東南アジアの特徴を明らかにしたい。

詳細

1870 年代頃から東南アジアに対する領域的支配が強化され、急速に地域経済は植民地体制の下に再編された。しかし、地域経済が単純に欧米諸国の植民地経済の一部に包摂されたと言うことはなく、それぞれが自律性を持って植民地化という外からの衝撃に対応したことが、近年の研究によって明らかにされている。自らのイニシアティヴで世界市場向けの商品の生産をはじめた事例等、東南アジアにおいて植民地体制が確立されていくなかで、地域経済やそこで活躍した商人には一定の自律性があったことは概ね確かであるが、詳細については未解明の点が多い。本研究では、それら先行研究のなかでも未だ十分に検討されていない点を詳細な一次資料を駆使して明らかにしていくとともに、アフリカをはじめとする他地域の同様の事例と比較することで、東南アジアの植民地体制下における地域経済の変容をより大きな世界経済史あるいは植民地経済史の枠組みのなかで再構築することを目的とする。そのうえで東南アジアの経験が世界経済史のなかで一定の普遍性が備わっていたことを見出したいと考える。換言すれば、アフリカや南アジアといった他地域の同じような事例と比較することを通じて、同じく植民地体制に再編された各地の地域経済と東南アジア経済との間にどのような共通点がありどのような違いがあったのかを明らかにし、そのことによって当時の東南アジア経済の世界市場における位置付けに新たな解釈を加えたいと考えている。

 


北スラウェシのココヤシ園
19 世紀半ば以降現在まで、北スラウェシでは大規模にココヤシが栽培されコプラが採取されている。多くの場合このようにトウモロコシなど他の作物が共に植えられていて、農民はこの方がココヤシのためにもよいと語る。