IV-3.「アジア共同臨床研究・臨床試験ネットワーク構築に向けての予備的調査」(平成28年度 FY2016)


  • 研究代表者:坂野晴彦(マサチューセッツ総合病院・神経疾患臨床研究研究所)
  • 共同研究者:長谷川好規(名古屋大学・先端医療・臨床研究支援センター)
  •                      粕谷英樹(名古屋大学・医学部医学系研究科国際連携室)
  •                      外山文子(京都大学・東南アジア研究所)
  •                      中西嘉宏(京都大学・東南アジア研究所)

研究概要

アジア共同の臨床研究、臨床試験を目指した日本と東南アジア諸国との間のコンソーシアム形成を目標に、効果的な共同研究の具体的内容、およびその問題点についてタイおよび日本の関係者間で協議を行い、今後のアクションプランおよび問題解決策を提示することを目的とする。タイにおける現地調査、日本における体制整備に加えて、文理融合型の研究を得意とする京都大学東南アジア研究所の地域研究者の協力を得て、持続可能な協力体制の確立を目指す。

詳細

海外で開発・承認された薬剤が国内で承認されていないため、欧米の標準的な治療薬が使用できないドラッグラグの問題、また日本における臨床研究の国際的な遅れを克服するためには、国際共同臨床研究・臨床試験が必要である。また欧米におけるコンソーシアムと対等に競争していくためには、アジアにおける臨床研究・臨床試験のコンソーシアムが必要と考えられる。さらにアジア人におけるデータは薬理遺伝学的観点において欧米とは異なる点があり、欧米データの直輸入から脱しアジア発の臨床研究を推進することが重要となってきている。

昨今アジア共同の臨床研究、臨床試験の必要性は唱えられているものの、アカデミア発の具体的な成功例は乏しいのが現状である。全身の筋力低下、筋萎縮を来し発症後3 ─ 5 年で死に至る筋萎縮性側索硬化症(ALS)にみられるように、神経疾患には治療法が確立されておらず、症例数も少ない疾病が多い。多地域からの変異遺伝子集積、国際共同臨床試験は今後とるべき方向性であり、神経疾患の治療法確立のために国際共同臨床研究、臨床試験が研究推進の鍵となる可能性がある。本研究では日本とアジア諸国とを結ぶ国際臨床研究コンソーシアムの確立を目指した予備調査を行い、今後の協力の具体的内容と協力体制構築の障壁となりうる問題点とを明らかにする。具体的には医療レベル、親日感情等で利点の多いタイをアジア連携のフィールドとして関係者との協議を行う。最終的には現在内向きと言われている本邦からの情報発信、国際的プレゼンスの向上、若手研究者による国際的視野の獲得に資することが期待される。

 


チュラローンコーン大学臨床研究センターの様子。臨床研究ラボの機器は充実している。

チュラローンコーン大学臨床研究センターにおける薬物動態(PK)データ取得用の専用ベッド。