VI-3. 「「ひきこもり」の問題化と医療化過程の解明」(平成28年度 FY2016)


  • 研究代表者:今井必生(医療法人 三家クリニック)

研究概要

どのように、なぜ、どんな背景の下「ひきこもり」が問題化され医療化されているのか、また、「ひきこもり」の定義がどのように変遷しているのか、以上を明らかにすることが本研究の目的である。研究は新聞データベース、医療系データベースおよび古典資料の検索を行い、定義、原因、対処、その時代の背景を抽出し表としてまとめる。可能であれば現在の東南アジアの方々への「ひきこもり」についての認識をインタビュー調査する。

詳細

1976 年、笠原嘉は、退却神経症という概念を提唱した。副業はできるが、期待される社会的役割である本業からは退却し、無気力、無関心、抑うつを呈する病態である。この頃からひきこもりが医療化されていくと考えられている。1980 年代から医療文献では実際に「ひきこもり」という言葉が使われるようになった。しかし、これらの医療文献がそれぞれ「ひきこもり」をどう定義づけ、何を問題としているかをまとめた研究はない。また、一般に「ひきこもり」がどのように問題化されていったのかは明らかではない。現在、「ひきこもり」と同様の状態は日本のみならず、韓国、台湾、香港、スペイン、オーストラリアでも見られると報告されている。どのように、なぜ、どのような背景の下「ひきこもり」が問題化され医療化されているのか、また、「ひきこもり」の定義がどのように変遷しているのか、以上を明らかにすることが本研究の目的である。

「ひきこもり」が現代的な環境下で問題化する状態であるとするならば、今後東南アジアの各国でも同様の問題が生じる可能性がある。「ひきこもり」が社会の中でどのように問題化され、医療化されるのかを明らかにすることで、未だこの状態が問題化していないアジア諸国でも、同様の事が起こりうるのか、起こりうるとしたらどのような対策がありうるのかを考える上で重要な資料となると考える。また、医療化を巡る課題についても明らかにしたい。

 


訪問診療へ出発するところ。ひきこもり者ばかりでなく、様々な精神障害患者の自宅や施設へ赴く。

ひきこもり外来のパンフレット。