III-2. 「Ronald Renardコレクションの保存整理と、その分析を通した東南アジア大陸部の民族と宗教文献に関する史資料の基礎研究」(平成29年度 FY2017 新規)


  • 研究代表者:田崎郁子(大谷大学・真宗総合研究所東京分室)
  • 共同研究者:速水洋子(京都大学・東南アジア地域研究研究所)
  • 和田理寛(京都大学・大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
  • Nittayaporn Prompanya(京都大学・大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
  • Anchalee Singhanetra-Renard(フリーランス研究者)
  • Pisith Nasee(チェンマイ大学・社会科学部)

研究概要

本研究は、タイをはじめとする東南アジア大陸部少数民族及び山地開発研究で著名な故R. Renard 氏コレクション及びチェンマイ周辺の各大学・研究機関所蔵の史資料を整理・分類し、東南アジア大陸部の民族と宗教に関する文献解題目録を作成するとともに、R. Renard 氏コレクションの一部を東南アジア地域研究研究所図書室に招来し、当該資料を活用した日本国内における東南アジア大陸部の民族・宗教研究の新たな展開に貢献する。

詳細

タイ北部チェンマイは、東南アジア大陸部における民族および山地社会研究の中心地である。同地には、タイ山地関連文献やタイ北部地域史資料を多く所蔵するチェンマイ大学図書館、タイにおけるバプテスト関連資料を所蔵するパーヤップ大学公文書館がある。これに加えてタイとミャンマーを中心とする東南アジア大陸部全域の民族関連文献やキリスト教宣教活動報告等多岐にわたる稀少資料を含んだ故Ronald Duane Renard 氏(1947~2014)の個人コレクションを挙げることができる。とりわけ、R. Renard 氏所蔵コレクションは、同氏が1980 年代から30 年以上チェンマイを拠点とした長期滞在研究の成果としてタイ・ミャンマー少数民族資料・バプテスト派宣教活動資料等貴重な現地資料が多数含まれている。本研究の目的は、第一にこれらの所蔵史資料を整理・分類し解題書誌情報を作成することによって当該地域の民族宗教研究概況を明らかにすることにある。第二にこのR. Renard 氏旧蔵書の一部を東南アジア地域研究研究所図書室(以下東南研図書室)に移し、日本国内における東南アジア大陸部の民族・宗教研究を推進することにある。

本研究グループには多言語かつ複数分野(歴史学、人類学、地理学、キリスト教他の宗教研究、各少数民族研究)の資料を整理し評価できるメンバーが参加しており、東南アジア大陸部の民族・宗教に関する史資料の整理・解題作業を通じて、当該分野研究状況の評価・分析と個々の参加者における研究の発展が期待できる。また、貴重な現地資料をカタログ化することで可視化し、その散逸を回避して将来的にコレクションとして保存するための準備をすることができる。

 


少数民族の家で村人と儀礼を行うレナード氏(中央)、2003 年12 月8 日

ラオスのジャール平原で巨石を調査するレナード氏(左)、2003 年9 月18 日