IV-15.「東南アジア8か国における熱帯林減少の駆動因:長期・地域スケールでの解析」(平成29年度 FY2017 新規)


  • 研究代表者:今井伸夫(東京農業大学・森林総合科学科)
  • 共同研究者:鮫島弘光(公益財団法人地球環境戦略研究機関・自然資源・生態系サービス領域)
  • 生方史数(岡山大学・大学院環境生命科学研究科)
  • 小林 知(京都大学・東南アジア地域研究研究所)
  • 内藤大輔(京都大学・東南アジア地域研究研究所)

研究概要

本研究では、1960 年代頃~2010 年における東南アジア8 カ国の県・州・省レベルを対象に、森林面積変化に及ぼす駆動因の相対的重要性の経時変化を明らかにすることを目的とする。既に、重要な森林減少要因である人口・社会経済・土地利用・地理に関する公刊情報を、当該国の行政機関図書館等で収集してきた。本課題では、1)未収集データ取得のための海外調査、2)統計資料のデータ入力・整理作業、3)研究打合せ、4)データ解析と論文執筆を行う。

詳細

東南アジア諸国では、アマゾン熱帯を凌ぐ勢いで森林減少が進む一方、いくつかの国や地域では森林回復も進んでいる。森林減少・回復の駆動因についての研究は多いが、以下の3 つの問題が指摘できる:1)調査対象期間が概して短く、特にリモセン研究では概ね1990 年代以降を対象にするため、駆動因の経時変化や森林減少が激しかった1960~80 年代頃の情報が乏しい、2)グローバル・スケールのような国単位の研究、あるいは村~県程度の狭いエリアを対象とした研究のどちらかに偏ってきた、3)駆動因は多数あるにもかかわらず、2~3 個程度の駆動因のみに注目した研究が多い。そのため、メソ・スケールにおける各駆動因の相対的重要性の時空間変動は、いまだ未解明である。本研究では、1960 年代頃~2010 年における東南アジア8 カ国(カンボジア・インドネシア・ラオス・マレーシア・ミャンマー・フィリピン・タイ・ベトナム)の県・州・省レベルを対象に、森林・人口・社会経済・土地利用・地理に関する公刊情報を収集・解析し、森林面積変化に及ぼす駆動因の相対的重要性の長期変化を明らかにすることを目的とする。

本課題は、熱帯林の減少・回復の原因解明を通して、森林保全・管理の最前線に立つ国際機関・国・県の利害関係者に対し駆動因情報を提供することができる。また、東南アジア各国では統計情報の散逸・紛失が進んでいて、しばしば国の統計担当者さえ目的資料にアクセス不可能な現状がある。解析に用いた生データは、論文発表時にSupplementary デジタルデータとして公表予定である。

 


研究打ち合わせ

各国で撮影した統計資料(写真はタイの人口データ)