IV-17.「雲南・カチン・アッサム回廊―中国、ミャンマー、インドは内陸で繋がるか」(平成29年度 FY2017 新規)


  • 研究代表者:今村真央(山形大学・人文学部)
  • 共同研究者:藤田幸一(京都大学・東南アジア地域研究研究所)
  • 小島敬裕(津田塾大学・学芸学部)
  • 木村真紀子(津田塾大学・学芸学部)
  • 長田紀之(日本貿易振興機構アジア経済研究所・
    地域研究センター動向分析研究グループ)
  • 堀江未央(名古屋大学・高等研究院)
  • 下條尚志(京都大学・東南アジア地域研究研究所)
  • 倉部慶太(東京外国語大学・アジア・アフリカ言語文化研究所)
  • 長岡 慶(京都大学・アジア・アフリカ地域研究研究科)
  • 中村 唯(公益財団法人笹川平和財団・笹川汎アジア基金事業室)

研究概要

本研究では、これまで雲南省、カチン地域、インド北東部(アッサム地域)の各地で別々に調査を行ってきた研究者が集まり、この地域に関する洞察を共有する。先行研究を整理し、予備調査を行うことによって、生態、農耕、宗教、文化、言語、民族、政治経済の繋がりと隔たりを分析する。この内陸部の回廊が、中国、ミャンマー、インド間の架け橋となるのかもしくは障壁となるのかを議論し、大型プロジェクトに向けての研究基盤を築いていく。

詳細

 本プロジェクトでは、 ヒマラヤ山脈南東部に位置する「雲南・カチン・アッサム」地帯を一つの連続体として捉え、この地域を一つの東西回廊とみなすことが妥当かどうかを検証する。

「雲南・カチン・アッサム回廊」という新しい地理的枠組みを検証する。これは新しい「地域研究」の可能性を探るものとして画期的なものである。

これまで「雲南・カチン・アッサム」地帯がまとまって論じられてこなかった原因の一つは、プータオなどミャンマー北部やアルナチャルなどインド北東部で調査を行うことが極めて難しかったことにある。現地調査が局地的に行われても、異なる地域に属するものと見なされてしまい、調査者間での情報共有の場も設けられてこなかった。本共同研究メンバーの多くは近年ミャンマー北部(プータオなど)やインド北東部(アルナチャルなど)を訪れ、これらの地域でもいよいよ現地調査が可能になってきたことを確認した。この地域での本格的な現地調査を準備して、新しい地域研究を提唱することが本研究の意義である。

特に、宗教や言語の分布をミクロとマクロの両レベルでの調査からと、カチン(ジンポー)、シャン(Tai)、ナガといった少数民族間関係の分析からは、多くの発見を期待することができる。それらの発見は、長い間現地調査が極めて難しかったこの地域を焦点とする大型研究プロジェクトへと発展していくだろう。

 


カチン(ジンポー)の象徴であるマナオ塔(中国雲南省)

カチン(ジンポー)の象徴であるマナオ塔(インド北東部)