IV-1. 「1960-70年代カンボジア王国におけるプレック・トノット多国間電力開発灌漑計画の形成史に関する研究」(平成29-30年度 FY2017-2018 継続)


  • 研究代表者:藤本穣彦(静岡大学・農学部)
  • 共同研究者:友次晋介(広島大学・平和センター)
  • 小林 知(京都大学・東南アジア地域研究研究所)
  • 日向伸介(大阪大学・大学院言語文化研究科)

研究概要

1960 年代後半〜内戦期までカンボジア王国において計画された多国間河川開発プロジェクト「プレック・トノット(川)電力開発灌漑計画」(以後、プレック・トノット計画)を対象に、1)1960〜70 年代の国際河川開発の設計思想を抽出すると共に、2)今日の再評価の動向を丁寧にフォローし、両者を比較・考察することで、直近50 年の、カンボジアにおける河川開発プロジェクトの計画立案と実施に関する変化の歴史を明らかにする。

詳細

プレック・トノット計画については、カンボジア国内の公式な記録はほとんど失われている。しかし、内戦中もギリギリまで工事が進められており、地域空間のなかにその設計思想と到達点をみることができる。工事関係者や政府関係者も一部存命していることがわかっており、彼らの経験や考察を記録すると共に、個人的に所有している資料や図面等を収集することから、1960~70 年代のプレック・トノット計画の全体像を再構成することが期待できる。

プレック・トノット計画は、戦後、日本が主導した多国間の国際技術協力として初期の取り組みであり、日本が東南アジア援助に関与していくひとつの重要な契機であった。この点について、日本とアメリカを中心に、カンボジア、オーストラリアなどで、プレック・トノット計画に関する外交資料が残っていることが確認できた。それらの収集・分析を、カンボジアの現地情報と共に統合的に行なう。

プレック・トノット計画の今日的意義を問い直す本研究を通じて、カンボジアの水資源管理についての新しい知見を導出することはもちろん、21 世紀の東南アジア(とりわけ国際河川・メコン川流域)における「開発」の在り方について考察する。

研究の成果を学術論文としてとりまとめると共に、より発展的な研究計画を構築し、研究プロジェクトの提案に結びつけるのが本年度の目的である。


海田能宏先生(京都大学名誉教授)を囲んで、メコン委員会勤務時代のお話を伺う

Prof. Nguyen Huu Chiem(カントー大学、ベトナム)に、1970 年代以降のメコンデルタの土地利用の変化を聞く