VI-2 .「ベトナム農村部の住民ボランティアによる、障がい者訪問支援活動の促進要因を探る」(平成30年度 FY2018 新規)


  • 研究代表者:松本 瞳(京都大学・大学院医学研究科)

研究概要

ベトナムの一部地域では住民ボランティアが障がい者の自宅を定期的に訪れ、健康状態の確認など支援を行っている。この活動に対し下記の調査研究を行う。
1) ベトナム農村部で障がい者の支援を行う住民ボランティアの活動について、研究協力機関が保有する文献資料または京都大学東南アジア地域研究研究所図書室、京都大学医学図書館所蔵の資料をもとにフィールド調査で用いるインタビューガイドの作成を行う。

2) ベトナムの農村部であるタイニン省でフィールド調査を行い、地域の障がい者支援を行う住民ボランティアに対して半構造化面接を行い、支援活動の促進要因を検討する。

研究目的

本研究の目的はベトナム農村部の住民ボランティアが、地域の障がい者支援に参加する促進因子を明らかにすることである。住民ボランティアによる地域在住の高齢者や障がい者への健康管理制度は有益であるが、ボランティアに対する報酬や教育制度は十分ではなく、自治体はボランティア活動を維持する方略を策定することが求められている。本研究では、住民ボランティアの障がい者支援への参加を促進する要因を明らかにし、ボランティアの活動環境の改善や人員確保の方略を検討・提示することを目指す。

研究の意義

住民ボランティアが地域の障がい者支援に参加する要因を明らかにできれば、ボランティアの活動環境の改善や、人材確保の方略が定められ、ボランティアによる質の高い地域保健活動の構築に貢献できる可能性がある。ベトナム国内では未だ医療資源が乏しい地域が多く、医師などの医療専門家だけでなく住民など非医療専門家による保健活動にも注目が集まっており、本調査で得られた成果は他地域においても応用性があると考える。

期待される効果

本調査により地域の障がい者支援に参加する市民ボランティア活動の促進要因を同定することで、市民ボランティアによる障がい者の心身機能の促進、生活障害の軽減などを目指した公衆衛生施策の再構築に役立つと考える。更に、障がい者の日常生活の状態の改善のみではなく、良質なボランティアの関わりを通じて雇用や教育の機会への参加の促進にも貢献できる可能性がある。本研究を通じて、対象地域全体の地域連携を高め、健康状態の促進に貢献できると考える。


地域住民による訪問支援

タイニン省ハオドゥック村