IV-13.「移民・難民の表象分析と多様なアクターによる映像実践―アジア・アフリカにおける比較研究」(令和1年度 FY2019 新規)


  • 研究代表者:王柳蘭(同志社大学・グローバル地域文化学部)
  • 共同研究者:直井里予(京都大学・東南アジア地域研究研究所)
  • 中山大将(釧路公立大学・経済学部)
  • 村橋 勲(京都大学・大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
  • 速水洋子(京都大学・東南アジア地域研究研究所)

研究概要

本研究は、アジア・アフリカにおける移民・難民を対象に3 つの方向性から比較・共同研究を行う。

1)メディアにおける表象の歴史的変遷とその政治的背景や構造の分析、2)移民・難民を含めた多様なアクターが行う移民・難民の映像実践を踏まえ、制作者の視点関与の問題や自己再帰的映像制作アプローチの学術的可能性の検討と分析、3)移民・難民をめぐる写真・動画資料の収集、保存とデジタル化によるあらたな学術的プラットフォームの萌芽的構築である。

詳細

本研究の目的は、主に映像メディアを通したアジア・アフリカにおける移民・難民の表象のあり方を検証するとともに、移民や難民を含めた多様なアクターが行う移民・難民の映像実践のあり方を研究することである。具体的には、移民・難民が自らの経験や歴史をどのように映像をとおして記憶しているか、また、彼らが自ら映像制作を行うことでどのように自らの経験を語り、情報発信を行っているかを個別の事例から明らかにすると同時に、移民・難民に関する既存の映像を閲覧・分析し、難民に関する映像表象の変化過程やメディア動向に関する比較研究を行う。また、申請者が各自映像制作を行うことで、研究におけるメディアの活用や表象とリアリティの学術的関係性の探求ならびに理論化をめざす。さらには、移民・難民の支援団体や当事者個人が収集し、あるいは撮影した写真や映像等の「民間資料」の積極的な収集と保存を行い、学際的な研究資源の共有化と次世代への継承を図ることで、より多くの人が移民・難民問題への関心をもつような仕組みを構築することである。

研究の意義としては2 点である。1)写真と動画を含む移民・難民が収集、保存しているイメージの分析や、移民・難民が参与する映像実践を明らかにすることをとおして、内部での差異、個別性、歴史性を紡ぎだし、メディア表象問題や自己再帰的制作アプローチの学術的可能性を探求する。さらに、2)映像や写真資料から文字資料やオーラルヒストリーでは把握しきれない情報を見つけ出し、その活用と保存、資料の継承方法をあらたに検討、開発する。

 


断食明けの祭りの朝に喜捨をする雲南系ムスリム

移民と難民に関するドキュメンタリーを共同で制作する