VI-4.「日本および東南アジアにおける女性生殖器がん治療後の性生活に関する情報探索行動への影響因子:文献検討とインタビュー調査を通して」(令和1年度 FY2019 新規)


  • 研究代表者:前田紗江(京都大学・大学院医学研究科)

研究概要

女性生殖器がん治療後には性機能障害出現のリスクがあるが、日本の医療現場では、羞恥心の伴う性の話題は取り上げられない傾向にある。また、この分野に関する研究は進んでおらず、我が国における実態はわかっていない。そこで今回、女性生殖器がんの罹患率が高い東南アジア諸国における治療後の性生活支援の現状や、性に関する認識について広く文献収集し、その資料をもとに、日本や東南アジア諸国の患者の性生活に関する情報探索行動に影響を与える因子について検討する。

詳細

女性生殖器がん治療後の合併症である性機能障害は、セクシュアリティの変容をもたらし、単に性行為だけではなく、パートナーとの関係性や女性性の認識など、治療後の生活に広く影響を及ぼす。申請者のこれまでの調査により、日本の医療現場においては、患者が性生活情報を必要としていても、専門家の不在や性の話題に対する羞恥心などから情報探索行動を取れない場合があることがわかった。我が国では女性生殖器がん治療後の性生活支援についての研究は進んでおらず、各施設での対応方法についての詳細はわかっていない。そこで、女性生殖器がんの中でも特に子宮頸がん罹患率が高い東南アジア諸国における、治療後の性生活支援や性への認識についての文献資料を収集し検討する。それらの資料をもとに、治療後の患者の性生活に関する情報探索行動に影響を与える因子を明らかにし、性生活情報提供の方策を提示したい。

女性生殖器がん治療後患者への性生活情報提供の方策を提示することは、これまで放置されてきた社会的課題への取り組みである。東南アジア諸国の患者の状況を把握し検討することで、日本はもとより東南アジアの患者の性生活支援、ひいてはQOL 向上への支援に繋がると考える。

本研究の成果は、女性性機能障害を抱える日本や東南アジア諸国の全ての患者の性生活支援のための資料として活用できる可能性がある。同様に、全ての女性性機能障害に関わる医療者への教育的介入プログラム開発の基礎資料となり得る。

 


女性生殖器がん治療後の性生活支援や性への認識について文献検索している様子

京都大学にて