IV-12. 「東南アジア地域研究における学際連携の創発要因と波及の分析」(令和2年度 FY2020 新規)


  • 研究代表者:藤枝絢子(京都精華大学・人文学部)
  • 共同研究者:Mario Lopez(京都大学・東南アジア地域研究研究所)
  • Nathan Badenoch(京都大学・国際戦略本部)
  • 後藤 真(国立歴史民俗博物館・研究部)
  • 今井敬吾(岐阜大学・大学院工学研究科)
  • 梅川通久(文部科学省科学技術・学術政策研究所)
  • 清水貴夫(京都精華大学・人文学部)
  • 園部太郎(京都大学・学術研究支援室)
  • 小野英理(京都大学・情報環境機構)
  • 河野泰之(京都大学・東南アジア地域研究研究所)

研究概要

本研究では、東南アジア地域研究における学際連携の創発要因を明らかにすることを目的とする。 京都大学の東南アジア地域研究研究所を起点に、研究者属性(所属、専門分野など)、学際共同研究情報(獲得研究費、著書/論文)に基づきデータベースを構築し、内外の研究者ネットワークを多層的、時間変化とともに可視化し、1)学際研究テーマの変遷、2)ネットワークの動的変化、3)主体と仲介者の質的特徴、4)人的資源以外の影響要素を分析するとともに、5)可視化による限界と可視化できない/されない部分の可能性を考察する。

詳細

複雑化する地球レベル・地域レベルの社会解決への学術貢献が求められるなか、人文科学、社会科学のみならず自然科学系分野を含む広範に横断した学際性を柱とする日本の地域研究の果たす役割は大きい。それゆえ、日本で醸成されてきた地域研究の学際性と混在性の性質を理解し、その可能性を明示することに意義があると考える。

本研究は、東南アジア地域研究を対象とし、研究者のネットワークと研究活動に関する質的・量的な情報を、多層的、時間変化とともに可視化することによって、学際連携がどのように創出され、発展してきたのかを明らかにするものである。研究者を軸とし研究がどのように発展したかという情報は、個人の経験、個人の研究成果や所属機関などの活動記録など区切られた枠内にとどまってきた。

本研究のアプローチによって一次元的には認識されなかった学際研究の発展を支える有機的な繋がりや相互作用特性が明らかにすることが可能となる。

東南アジア研究や地域研究についての理論や方法を議論した論文や著書は多岐にわたるが、その学際性、研究者のネットワークに着目するものはほとんどなく、本研究は、地域研究とは何か、その性質を考える上で新たな視点をもたらす。本研究の成果を英語論文や国際会議を通じて発信することは、いまだ分野においては西洋的な概念が中心であり、日本的な地域研究へのアプローチは十分に評価されていないと言われるなかで、意義があると考える。

加えて、学際連携を牽引する研究者の性質や取り巻く環境が明らかとなることは、将来的な地域研究の発展に資する環境構築、人材育成環境の整備に寄与する。

 


CSEAS における人文科学系・社会科学系・自然科学系による文理融合概念図

科研費からみる CSEAS の研究者ネットワークの可視化(例:1987-1994)