IV-1. 「東南アジアの選挙監視と政治体制に関する比較研究」(令和1-2年度 FY2019-2020 継続)


  • 研究代表者:伊賀 司(京都大学・東南アジア地域研究研究所)
  • 共同研究者:鷲田任邦(東洋大学・法学部)
  • 岡本正明(京都大学・東南アジア地域研究研究所)
  • 木場紗綾(公立小松大学・国際文化交流学部)
  • 谷口友季子(ジェトロ・アジア経済研究所・地域研究センター)
  • 中西嘉宏(京都大学・東南アジア地域研究研究所)
  • 山田裕史(新潟国際情報大学・国際学部)
  • 湯川 拓(東京大学・大学院総合文化研究科)

研究概要

本研究は東南アジアの 6 カ国(マレーシア、フィリピン、タイ、インドネシア、 カンボジア、ミャンマー)と地域レベルでの選挙監視の実態と政治・社会的影響の違いを比較することから、その違いがなぜ・どのように生まれるのかということについて、各国の政治体制の違いを踏まえて検討し、明らかにする。そのうえで、 研究対象とした東南アジアの事例以外にも適用可能な理論的含意を得ることを目指す。

また、本研究会では、質的研究か量的研究のいずれかに力点をおいて研究を行ってきたメンバー間の協働を促進し、混合手法のアプローチを採用することで、 その発展の可能性を探る。

研究目的

本研究では選挙監視をめぐる多様性を踏まえつつ、東南アジアの 6 カ国(マレーシア、フィリピン、タイ、インドネシア、カンボジア、ミャンマー)の選挙監視の実態と政治・社会的影響および地域レベルでの各国の連携の現状を調査する。さらに、調査結果を通じて選挙監視活動が政治体制に与える影響を比較・考察して一定の理論的含意を得ることを目指す。

意義

選挙監視のテーマは学術的研究のみならず、実務やボランティアの面からも既に様々な論考が発表されている。しかし、選挙監視の制度のみならず実態や、その政治・社会的影響が、各国でどのように異なり、そして、なぜそうした違いが生まれるのかを検討した研究は現在も不十分なままであり、本研究はその不足を補うことができる。

研究手法の面では、本研究会のメンバーは質的研究か量的研究のいずれかに力点を置いて研究を行ってきたが、メンバー間の協働を促進し、混合手法のアプローチを採用することで、地域研究と比較政治学の有機的結合の方向性を示すことができる。

期待される成果

本研究は、東南アジアの選挙監視の実態やその効果について、投票所での短期の選挙監視だけでなく、既存研究が看過してきた側面(政党政治、社会運動、国際ネットワーク、SNS 等)にも着目しながら解明するとともに、政治体制ごとの違いを超えて規定する要因を明らかにする。これによって、東南アジアの多様性の理解を深めつつ、東南アジアを越えた理論的含意を得ることも期待される。

 


カンボジアの投票用紙

マレーシアの市民社会組織による選挙監視のレポート