IV-12.「在ジャカルタ大衆組織構成員の階層・社会意識調査──インドネシア大衆組織の大規模な階層・社会意識調査に向けて」(令和3年度 FY2021 新規)


  • 研究代表者:中村昇平(京都大学・東南アジア地域研究研究所)
  • 共同研究者:足立真理(日本学術振興会・立命館大学・衣笠総合研究機構)
  • 岡本正明(京都大学・東南アジア地域研究研究所)
  • 久納源太(京都大学・大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
  • Muhamad Haripin(インドネシア科学院・政治学研究センター)
  • 本名 純(立命館大学・国際関係学部)

研究概要

本研究は、ジャカルタの大衆組織構成員の階層・社会意識について統計的に明らかにするためのサーベイ調査にむけた調査手法の確立と予備調査の実施を目的とする。調査票策定の過程で、非構造化インタビュー等の質的調査も駆使しながら、現地の調査機関や調査対象組織と連携し、複数回の予備調査と質問票の改定作業を行う。この方法は、調査対象の実態に即した調査票項目作成を可能にするとともに、現地の調査機関および関連諸組織との緊密な連携構築にも資するものである。

詳細

本研究は、在ジャカルタ大衆組織の階層・社会意識に関する調査手法・手順の確立と関連諸機関や組織との連携構築を通して、インドネシアの大衆組織の包括的社会調査のための大規模サーベイ調査にむけた調査手法を確立することを最終的な目標とする。

本研究の目的は、多段無作為抽出を用いた構成員の階層・社会意識に関する統計的な分析によって、大衆組織の全体像を解明することにある。質問紙調査実施までの過程で対象組織幹部・構成員へのインタビュー調査を並行して行うことで、質的・量的両面から構成員の社会意識の実態を把握することを目指す。

これまで外面的な属性や性格によって類型化されてきた複数の組織について、構成員の社会階層・社会意識に関する現実に則した理解を可能とする本研究の成果は、インドネシア社会全体における大衆組織の社会的役割・可能性を再評価するための重要な示唆を提供する。その点で、インドネシア社会にも成果が還元されることが期待される。

本研究計画の終了後は、必要な外部資金を獲得次第、本調査を実施することを目指す。また、調査対象地域をインドネシア全域に拡大することで、全国的大衆組織の地方支部・地方大衆組織についても同様の調査を実施し、全国的な動向を把握するための研究へと発展させることが期待される。さらには、近隣他地域にも対象を広げることができれば、東南アジア各国の比較研究へと繋がることも期待される。

 


ブタウィ結束フォーラム調査時の写真(2013 年8 月25 日、中村撮影)

プムダ・パンチャシラジャカルタ支部事務局Embay Supriyantoro 氏へのズームインタビューの様子(2020 年12 月20 日撮影、岡本正明氏提供)