IV-15. 「21世紀のタイ文化史:共同研究に向けた基盤形成」(平成25年度 FY2013 新規)


  • 研究代表者:坂川直也(京都大学・アジア・アフリカ地域研究研究科)
  • 共同研究者:加納 寛(愛知大学・国際コミュニケーション学部)
  • 山田 均(名桜大学・国際学群)
  • 矢野秀武(駒澤大学・総合教育研究部)
  • 岩城考信(呉工業高等専門学校・建築学科)
  • 田代亜紀子(奈良文化財研究所・企画調整部)
  • 平田晶子(東京外国語大学・大学院地域文化研究科)
  • 日向伸介(京都大学・アジア・アフリカ地域研究研究科)
  • 小林 知(京都大学・東南アジア研究所)

研究概要

本研究は、タイ文化史の学説史的な検討、および21 世紀のタイ社会における文化史研究の意義の検討を通して、将来的な共同研究に向けた共同研究課題の設定を目指す。タイ文化史という開かれた枠組みのもとで、多様な領域に携わる研究者が集まり議論を行うことにより、広範かつ有意義なネットワーク形成が期待される。

詳細

本研究の目的は、今日のタイ社会において文化史研究がどのような意義をもちうるのか、その可能性を検討し、将来的な共同研究に向けた課題設定をおこなうことである。

2006 年のクーデタ以降、タイでは王制と民主制をめぐる対立が国民間に生じている。その対立はさらに、世界遺産であるプレア・ヴィヒア/プラ・ウィハーン遺跡の帰属をめぐるナショナリズム感情の高揚にも関係している。現代の王制やナショナリズムに関わるこれらの問題においても、文化的・歴史的なアプローチが不可欠であることは、たとえばチャーンウィット・カセートシリ氏の近年の活動からも明らかであろう。

本研究会は、タイ文化史という開かれた枠組みのもとで、多様な領域(政治史・思想史・文化史・建築史・映画史・宗教学・仏教学・考古学・人類学)に携わる研究者が集まり議論をおこなう。同時に、それが「タイ」研究というナショナルな空間に閉じられることを避けるために、カンボジア、ベトナム研究の専門家にも参加を求めた。

専門を異にしながらも広義の文化史に携わる研究者が集まり、共同で問題提起を行う場となる本研究会は、地域研究の拠点形成において重要な意義をもつものである。


ダムロン親王視察中のプレア・ヴィヒア/プラ・ウィハーン遺跡(1930)(タイ国立公文書館所蔵)

「文明」的な服飾を指導するピブーン政権期のポスター(1941)(タイ国立公文書館所蔵)