IV-6. 「東南アジア交易史における「長期の19世紀」」(平成24-25年度 FY2012-2013 継続)


  • 研究代表者:杉原 薫(政策研究大学院大学・政策研究科)
  • 共同研究者:水野広祐(京都大学・東南アジア研究所)
  • 川村朋貴(東京大学・大学院人文社会系研究科)
  • 太田 淳(広島大学・大学院文学研究科)
  • 西村雄志(関西大学・経済学部)
  • 久末亮一(日本貿易振興機構アジア経済研究所・新領域研究センター)
  • 宮田敏之(東京外国語大学・大学院総合国際学研究院)
  • 柿崎一郎(横浜市立大学・国際総合科学部)
  • 島田竜登(東京大学・大学院人文社会系研究科)

研究概要

18 世紀末から20 世紀初頭にかけての東南アジアでは、植民地化と世界経済への統合のなかで、域内交易が、他地域と比較しても注目すべきスピードで持続的に成長した。本研究会は、先行の萌芽研究(後述)の成果を受け継ぎ、独自の交易ネットワークや市場制度を発達させた域内交易の成長という視点から東南アジア交易史を捉えなおすことによって、「長期の19 世紀」をまとまりとする新たな歴史像の提示を目的とする。

詳細

われわれは、萌芽研究「東南アジア史における交易網と中継港の役割」[平成22─23 年度]において、19 世紀の東南アジアにおける域内交易の成長という仮説を提出し、これまで研究が遅れていた19 世紀前半の域内交易を数量的に検討した。その結果を19世紀末以降の趨勢と合わせて考えると、「長期の19 世紀」における域内交易の持続的成長という構図が浮かび上がってくる。本研究は、植民地化やアジア間貿易の発展だけからは説明しきれない、シンガポール、香港などの中継港をハブとする東南アジア域内交易の持続的成長を支えた独自の市場制度の存在、および商業ネットワークの性格とその変化を貿易統計、商品価格データ、記述史料から解明し、その意義を論じる。域内交易史の立場からのこのような総合化の試みは存在しないので、東南アジアが他地域では見られない市場制度を発達させたことが解明できれば、現在研究の焦点となっている制度分析の比較史的研究に貢献できると考えられる。

平成24年度は、英文学術誌Southeast Asia Studies に本研究のこれまでの成果の特集を申請するとともに、2 回の研究会を開催した。今年度も研究会形式での討論を継続するとともに、和文での個別研究の成果発表、関連研究会(石川基盤S、杉原基盤B、城山基盤A など)との交流を図る。さらに、国際的発信にも尽力し、最終的には、英文または和文での論文集の刊行を目指す。