II-1. 「現代インドネシアにおける土地紛争とその歴史的意味合い」(平成29-30年度 FY2017-2018 継続)


  • 研究代表者:加納啓良(京都大学・東南アジア地域研究研究所)
  • 共同研究者:Dianto Bachriadi(土地問題情報センター)
  • 水野広祐(京都大学・東南アジア地域研究研究所)
  • 松野明久(大阪大学・大学院国際公共政策研究科)
  • 岡本正明(京都大学・東南アジア地域研究研究所)

研究概要

現代インドネシア土地紛争研究で最も業績のあるDianto Bachriadi 氏は、2012 年から2016 年までの間、国家人権委員会の副委員長として土地紛争の調停解決にあたった。このDianto Bachriadi 氏を外国人研究者として招聘し、国家人権委員会における活動を踏まえた研究を発展させると同時にこれらの問題をインドネシア土地問題の歴史的展開のなかに位置づける研究を実施する。

研究目的

今日のインドネシアにおいては、土地紛争や土地問題が一層複雑困難なものとなり、例えばジャカルタの都市開発、環境整備事情に於いて極めて多数の住民立ち退きが行われ、それに対し、低額補償金あるいは補償金もない、という事態が生まれている。招聘外国人研究者のDianto 氏は、今日の土地紛争研究の第一人者であるばかりでなく、国家人権委員会において土地紛争の調停解決にあたっている。Dianto 氏の招聘により、今日のインドネシア土地紛争・土地問題研究が大きく展開することが期待される。研究代表者の加納や共同研究者の水野は、インドネシアの土地紛争や土地問題を歴史的に研究しており、Dianto 氏の東南アジア地域研究研究所滞在により、現代インドネシアの土地紛争と土地問題に関する歴史的分析を深化させ、よって現代インドネシアの土地紛争・土地問題のより深い分析およびそれに対する解決策を検討する。

意義

Dianto Bachriadi 氏の土地紛争・土地問題研究を、国家人権委員会副委員長として土地問題の解決にあたった実践を加えた研究として発展させる。国家人権委員会の活動から得た様々な知見を研究としてまとめる。また同時に歴史的視座を得ることによってさらに研究を深化させ、問題の解決に貢献することを可能にする。

期待される成果

現代インドネシア土地紛争研究の第一人者とも言うべきDiantoBachriadi 氏が国家人権委員会において問題解決にあたった経験を踏まえて、その間の知見を研究成果として発表する。また、これらの知見の歴史的コンテクストからの位置づけを見ることによって研究の革新を図る。


ブンクル州における土地紛争。住民による土地占拠行動前の集会

バンドゥンの西ジャワ州庁舎前におけるおけるパマンダン農民組合の抗議行動