IV-3. 「東南アジア地域文献の資料論的研究 : ハンノム文献を中心として」(平成29-30年度 FY2017-2018 継続)


  • 研究代表者:清水政明(大阪大学・大学院言語文化研究科)
  • 共同研究者:小島浩之(東京大学・大学院経済学研究科・経済学部)
  • 矢野正隆(東京大学・大学院経済学研究科・経済学部)
  • 森脇優紀(東京大学・大学院経済学研究科・経済学部)
  • 大川昭典(フリーランス研究者)
  • 大野美紀子(京都大学・東南アジア地域研究研究所)

研究概要

本研究では、タイのベトナム寺院に遺されていたハンノム(漢字・チューノム)文献を対象に、その書誌学的情報をまとめてデータベース化するとともに、これが原資料であることに鑑み、複製された資料では得られないタイプの情報(ここでは特に紙質データを中心とする)を採取し、その資料論的な位置づけを試みる。こうした作業を通じて、テクスト読解とモノ研究の両面において、この貴重な資料のもつポテンシャルを最大限に活かす方策を検討する。

詳細

本研究は、日本国内では希少な東南アジア地域の原資料に、古文書学的な方法論を適用することにより、これらの持つ豊富なメッセージを多角的に読み取ろうとするものである。ただし、今回対象とするハンノム文献は、テクストレベルにおいても、十分な研究の蓄積があるとは言い難い。そこで、まず、詳細な目録および解題の作成を重点的におこない、次に、古文書学的な手法による資料調査を試掘的におこなう。この作業を通じて、こうした手法を本格的に適用する基盤を構築することを目的とする。

本研究は、単なる資料研究ではなく、地域における原資料の位置づけという課題を視野に入れている。このことは、資料を、研究対象としてだけではなく、文化資産として取り扱うことにも繋がる。したがって、図書館をはじめとする資料管理者との協力は必須であり、原資料とデジタル等の複製物との関係、この両者がそれらを産出した地域とどのようなレベルで繋がっているか、といった課題にも繋がる。

作成された書誌情報は、利用のための管理データとしてだけではなく、解題と組み合わせることにより、本資料群を研究する際に不可欠の基本情報となるはずである。また、原資料にアクセスするということは、文化資産の保存・活用という文化的活動を、専門研究と同一平面上で見通す視野を開くことにも繋がる。このことは、地域の理解、地域との関わり、という意味において重要な意味を持つであろう。


史料の料紙をめぐって意見交換

第4 回調査研究会を終えて