III-1.「William-Hunt Collectionの3D画像地図アーカイブ化を通した第二次世界大戦後大陸部東南アジアの景観変容に関する研究」(平成26-27年度 FY2014-2015 継続)


  • 研究代表者:長谷川博幸(日本土地家屋調査士会連合会)
  • 共同研究者:柴山 守(京都大学・アセアン拠点)
  • 小林 知(京都大学・東南アジア研究所)
  • Elizabeth Howard Moore(ロンドン大学・アジア・アフリカ研究学院)
  • 宮原健吾((財)京都市埋蔵文化財研究所)

研究概要

本研究は、東南アジア研究所地図室が所蔵する、第二次世界大戦期に英国空軍によって撮影された航空写真コレクションWilliam-Hunt Collection(以下、WHC)の 3D 画像地図アーカイブ化をおこない、第二次世界大戦後の同地域の景観変容に関する研究を進める。具体的には、昨年度に着手したWHC 航空写真の撮影評定図の作成をさらに進めると同時に、それに基づく3D画像地図対応モザイク地図画像の作成を行う。なかでも、特に、ミャンマーをサンプル地域として、構築する3D 画像地図アーカイブを既存の地形図と重ね合わせ、連動したデータベースを構築する。それにより、事例とした地域の景観変容に関する研究を進める。

詳細

本研究は3つの目的をもつ。第1の目的は、初年度に枠組を構築した3D画像地図アーカイブを基盤とするWHCの撮影標定図作成である。1940年代撮影当時の標定図に代わる撮影位置表示画像地図アーカイブを3D-CADに実現する。WHC航空写真は、考古学、経済地理学、歴史と地形情報学などの各分野からの大陸部東南アジア研究を支援する重要な資料であり、その整理・共有化及びオンラインでのデータの公開を準備する。

第2の目的は、歴史変化の確認、検索、景観検討の舞台として、3Dジオラマの手法などを用いて、地図と航空写真を用いた各種表現方法を検討することである。これは、地図図葉と航空写真印画紙のロッカー収納形式から、デジタル画像として検索可能な様態へ移行する道を探ることを意味する。具体的には、地図画像と航空写真画像を3D-CADの環境で統一した地図投影系にある3D画像地図のデータ形態のなかに組み込むことを試みる。

第3の目的は、WHCの航空写真を空中三角測量により3D画像モデルとして、3D-CAD画像地図と対応させて歴史的現実感を表現することにより、都市化と開発の進展あるいは森林域の変遷を計測対象として把握するツールとして活用することである。具体的には、ミャンマーのサンプル地域において、作業を進める。 本研究は以上により、今後の地域研究、地理学及びGISの発展の方法論的基礎となる画像地図アーカイブ航測法を、世界に向け発信することを目標とする。


ALOS-1 衛星ステレオ画像とGCPs 基準点と1 秒毎の運転経路

2011 年-2015 年─全国与点電子基準点と鹿児島桜島周辺観測局